第2章「次の内閣」・政務調査会 各分野の対応
消費者問題
2023年、政府の消費者委員会の専門部会から、ジャパンライフ等の破綻必至商法による被害の回復が現行制度では困難であることから、今後の政策提案を含めた報告書が出された。また、消費者庁では、消費者と事業者の間の情報や交渉力の格差だけでは現在発生している消費者被害をとらえることが困難との考えから、消費者法制の抜本的見直しが進められている。
そうした中、内閣(消費者問題)部門では、個別の消費者被害の様相を把握することが政策立案につながるとの考えから、増加傾向にある消費者被害として、SNS勧誘による投資被害や脱毛エステ契約トラブルなど実際の被害について、消費者団体や心理学の専門家からヒアリングし、政府に対応を求めた。
また、カスタマーハラスメント対策については、厚生労働部門等と合同で会議を開催し、対策の必要性を共有しつつ、消費者の重要な権利である正当なクレームが阻害されないようにすべきとの消費者団体の意見も含めて、政府に要請した。
旧統一教会被害対策
2023年10月13日の政府による解散命令の請求と並行し、2022年からの残された課題である旧統一教会の財産保全について、国会で議論するとともに、旧統一教会財産保全法案を提出した。(詳細 第3章 旧統一教会財産保全法案)
機能性表示食品による健康被害を防ぐ法案を提出
2024年3月、小林製薬の紅麹の成分を含むサプリメントの摂取による死亡事例や入院事例等の深刻な健康被害が発生していたことが分かった。機能性表示食品制度は創設当時から消費者ではなく経済優先ではないかとの懸念や安全性・機能性の科学的根拠の問題が指摘されてきた。立憲民主党は今回の健康被害を受け、国民の命、食の安全にかかわる重大な案件として、機能性表示食品の見直しに関するプロジェクトチームを立ち上げた。
現行制度のガイドラインでは、届出事業者に対し健康被害情報の速やかな報告を求めているものの、具体的な報告期間や法的義務が不明瞭なため、小林製薬による健康被害報告は2カ月以上もなされなかった。立憲民主党は健康被害への早急な対応と、原因が特定できていなくても速やかに報告することを義務付ける法改正の実現や原材料の受入れを含めた製造管理基準(GMP)の認証取得の義務化などを求め、厚生労働省および消費者庁に緊急要請した。
さらに立憲民主党は、213回通常国会で「機能性表示食品被害防止法案」を提出した。内容は健康被害情報の届出義務制度の創設と、機能性表示食品の製造過程の管理の在り方や安全性の確保等に関する法制度の在り方を検討するものである。機能性表示食品は特定保健用食品とは違い、国の認可は不要だが、消費者目線では、国が健康上の利益や安全も担保しているとの誤解が生じている。また、サプリメントのように濃縮した成分を定期的に摂取する食品は、医薬品に限りなく近く、十分な安全対策や、被害者の救済機関の設置等が必要である。立憲民主党は、本法案の早期成立を目指したが、継続審議となった。一方、政府は検討会を実施したものの、あくまで府令・省令で報告を義務化するとしている。今後も小林製薬のサプリメントによる健康被害状況を注視しつつ、報告義務の法制化に向け、政府に働きかけていく。