毎年9月頃に発刊国会レポートDiet Report

立憲民主党
国会レポート2024
(212回臨時国会、213回通常国会総括)

第2章「次の内閣」・政務調査会 各分野の対応

総務・政治改革

総務部門は、地方行政、地方税財政、情報通信、郵政、消防などとともに、地方創生・地域活性化、倫理選挙、政治改革についても所管しており、各種ヒアリングや法案対応を行った。

課題残す物価高騰対策給付金差押禁止法案

衆議院地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員長は212回臨時国会に議員立法「物価高騰対策給付金に係る差押禁止等に関する法律案」を提出した。立憲民主党は賛成し、可決・成立した。省令で定めるものも差押禁止等の対象とすることで、都度ごとの立法が不要となり迅速な対応が可能になる一方、立法権の侵害に繋がるなどの懸念点についてただした。

地方税法等改正案・交付税法等改正案への対応

政府は213回通常国会に「地方税法等の一部を改正する法律案」「地方交付税法等の一部を改正する法律案」を提出した。

地方税法等改正案については、①基幹税である住民税を利用した定額減税は歳入の自治に逆行、②法人事業税の外形標準課税の見直しが不十分、③賃上げ促進税制の有効性に疑問、④地方への抜本的な税源移譲が進んでいないことなどの理由で立憲民主党は反対したが、地方税法等改正案は与党などの賛成多数で可決・成立した。

交付税法等改正案については、所得税の定額減税に伴う交付税の減収分の補塡がないことは許容すべきものではないなどの課題はあるが、①一般財源総額は3年連続で過去最高水準となり、交付税総額も6年連続で前年度を上回る高い伸び率となるなど、地方財源を一定確保することができた、②臨時財政対策債の発行額も半減する等地方財政の健全化に一定配慮している、③会計年度任用職員への勤勉手当の支給の所要額が計上された、④普通交付税の基準財政需要額に新たに「こども子育て費」が創設された、など地方の要望に応えたものであることから、立憲民主党は賛成し、交付税法等改正案は可決・成立した。

両案の懸念点や課題については、衆参両院の委員会決議「持続可能な地方税財政基盤の確立及び大規模災害等への対応に関する件」に盛り込んだ。

NTT法等の見直しで国民本位の議論を求める

政府は213回通常国会に研究成果の開示義務を撤廃する等のNTT法等一部改正案を提出した。立憲民主党は懸念点に対して附帯決議を付して賛成し、改正案は可決・成立した。附則には「令和七年に開会される国会の常会を目途」にNTT等に対する「規制の見直しを含む電気通信事業法の改正等必要な措置を講ずるための法律案を国会に提出する」と明記されている。国民生活にも大きな影響を及ぼすものであり、ユニバーサルサービスの確保、公正競争の確保、国際競争力の強化、経済安全保障の確保の観点から、関係団体とも連携しつつ国民本位の議論を進めていく。

ネットの誹謗中傷問題への対策進める

政府は213回通常国会に、大規模なSNS事業者等に削除対応の迅速化や運用状況の透明化を求める、プロバイダ責任制限法一部改正案を提出した。ネットの誹謗中傷問題に対応するため、立憲民主党は、自民、維教、公明、国民提出の修正案および政府案に附帯決議を付して賛成し、政府案は修正の上、可決・成立した。

放送法改正案の懸念をただす

政府は213回通常国会に、ネット配信を必須業務化する「放送法の一部を改正する法律案」を提出した。立憲民主党は、NHKの肥大化に対する懸念や「ネット受信料」の在り方等をただし、附帯決議を付して賛成した。改正案は可決・成立した。

分権に逆行の地方自治法改正案に反対

政府は213回通常国会に、「国民の安全に重大な影響を及ぼす事態」の自治体に対する国の指示権を拡大する「地方自治法の一部を改正する法律案」を提出した。立憲民主党は最低限の歯止めとして修正要求を取りまとめ与党と協議したが、受け入れられなかったため、国会への事後報告を求める修正案には賛成したが原案には反対した。改正案は与党などの賛成多数で修正の上、可決・成立した。(詳細 第3章 補充的指示権盛り込む地方自治法改正案

2024.2.21 「代執行問題と国・地方の調整ルール」について有識者よりヒアリング
2024.2.21 「代執行問題と国・地方の調整ルール」について有識者よりヒアリング

世襲の制限策と選挙の自由妨害への対応策をまとめる

立憲民主党は212回臨時国会に「政治資金規正法の一部を改正する法律案」(政治資金世襲制限法案)を衆議院に提出したが、継続審議となった。政治資金には相続税や贈与税などの税金がかからず、世襲候補は資金面で有利なことから、本法案は多様な人材の供給を目指して、資金面での公平を期し親族への引き継ぎを制限するものである。

2024年4月の衆議院東京15区補欠選挙で選挙妨害行為が繰り返されたことを受け、立憲民主党は「公職選挙法の一部を改正する法律案」(選挙の自由妨害罪法案)の骨子案たたき台をまとめた。公権力で表現行為を規制することは抑制的であるべきことから、引き続き、立憲民主党は慎重に検討を行うこととしている。

実効性ある政治資金規正法改正を

自民党派閥の裏金事件を受けて立憲民主党は、213回通常国会で衆議院に政治資金透明化法案を国民民主党、有志の会と共同で、パーティー禁止法案を立憲民主党単独で提出した。208回通常国会で衆議院に立憲民主党単独で提出した企業・団体献金禁止法案、自由民主党提出の「政治資金規正法の一部を改正する法律案」(自民党案)、日本維新の会・教育無償化を実現する会提出の維教案とあわせて5案が倫理選挙特別委員会を改組した政治改革特別委員会で並行審議された。

自公維が合意し自民党案が修正されたが、維教の反発で再修正されるなど協議は迷走した。立憲民主党は反対したが、自民党案が公明、維教の賛成で修正の上、参議院に送付された。維教案は取り下げとなり、立憲民主党等の提出した3法案は与党などの反対で否決された。

参議院では、修正された自民党案と、日本共産党提出の企業・団体献金禁止法案、「政党助成法を廃止する法律案」、国民民主党・新緑風会提出の「政治資金規正法等の一部を改正する法律案」が審議された。自民党案について、維教は独自の修正案を提出し反対に回ったが、与党の賛成で可決・成立した。立憲民主党は4本全ての案に反対した。(詳細 第3章 政治資金規正法等改正案

2024.5.20 政治資金透明化法案を2党1会派で衆議院に共同提出
2024.5.20 政治資金透明化法案を2党1会派で衆議院に共同提出