毎年9月頃に発刊国会レポートDiet Report

立憲民主党
国会レポート2025
(第214回臨時国会・第215回特別国会・第216回臨時国会・第217回通常国会の総括)

第1章214回臨時国会~217回通常国会総括

「熟議と公開」の国会で多くの政策提案を実現

野田「次の内閣」スタート

2024年9月23日、立憲民主党の新代表に野田佳彦元首相が就任した。野田新ネクスト内閣総理大臣の下、「次の内閣」(ネクスト・キャビネット)はポストの新設・再編を行い、新たにネクスト内閣府統括・防災・国家公安委員会担当大臣、ネクスト経済財政担当大臣、ネクスト地方創生・消費者・沖縄北方担当大臣、ネクストジェンダー・共生・孤独孤立担当大臣、ネクストデジタル・行政改革・公務員改革担当大臣、ネクスト復興・福島再生大臣が設けられ、税制調査会長、憲法調査会長を含め22名の「次の内閣」体制となった。

また、各種のプロジェクトチームやワーキングチームを新たに設置し、社会的課題に機動的に対応した。(詳細 「次の内閣」・政務調査会役員等一覧

214回臨時国会、215回特別国会

214回臨時国会は2024年10月1日から10月9日(9日間)の会期で開かれ、10月1日に衆参両院の本会議で内閣総理大臣指名選挙が行われ、石破茂内閣が発足した。衆議院地こデジ委員長提出の「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者等に対する補償金等の支給等に関する法律案」が全会一致で成立した。立憲民主党はじめ野党4党は、衆議院に石破内閣不信任決議案を提出したが、審議されないまま衆議院が解散された。

10月15日公示・27日投開票の短期決戦で第50回衆議院議員総選挙が執行された。立憲民主党は躍進し、与党は過半数割れとなった。総選挙後の首班指名のための215回特別国会は、2024年11月11日から11月14日(4日間)の会期で開かれた。衆議院では、最初の記名投票で投票の過半数を得た者がなかったため、石破自由民主党総裁と野田立憲民主党代表との決選投票となり、石破氏が第103代内閣総理大臣に指名された。

立憲民主党は、目前に迫る健康保険証の廃止を延期する「保険証廃止延期法案」(保険証併用法案)を衆議院に再提出するとともに、衆議院の解散に伴って廃案となった「130万円のガケ」対策のための「就労支援給付制度の導入に関する法律案」を対象者の年収の上限を明記した上で衆議院に再提出した。

216回臨時国会、217回通常国会

216回臨時国会は2024年11月28日から12月24日(27日間)の会期で開かれた。当初会期は24日間だったが3日間延長された。

216回臨時国会では、委員長提出法案を含め11本の議員立法を提出した(成立は5本)。立憲民主党が主導した主な議員立法は、旧文通費公開返還法案、政策活動費廃止法案、悪質ホストクラブ被害防止法案、医薬品不足を解消するための中間年改定廃止法案などである。また、令和6年度一般会計補正予算、特別会計補正予算に対する修正案を提出したが、否決された。

217回通常国会は2025年1月24日から6月22日(150日間)の会期で開かれた。

217回通常国会でも、積極的に立法活動に取り組み、委員長提案含め57本の議員立法を提出した(成立は17本)。(詳細 立憲民主党が提出した議員立法

国会の風景を変える

衆議院で少数与党となった石破政権は、野党の協力なしには予算や重要法案を衆議院で通すことはできなくなった。立憲民主党は、「熟議と公開」の原則を掲げ、国会でのオープンな議論を重視し、「国民の声が反映される国会」へと国会の風景を大きく変える努力をした。予算委員長や法務委員長、憲法審査会長、政治改革特別委員長など、戦略的に委員長ポストを獲得した。

216回臨時国会では、28年ぶり(補正予算に限れば憲政史上初)の予算修正(一般会計予備費残高のうち1000億円について、能登の復旧・復興に係る経費に使途を限定)を実現した。野党7党で、政党の裏金と言われた政策活動費を廃止する法案を提出し、粘り強い修正協議の末、政策活動費の廃止を勝ち取った。与党が消極的だった調査研究広報滞在費(旧文通費)についても、報告・公開・残額返還の法案を成立させるなどの成果を上げた。

2024.11.28 「野党政策責任者会談」を開催
2024.11.28 「野党政策責任者会談」を開催
2024.11.26 与野党7党の政治改革責任者が全面公開で政治改革を協議
2024.11.26 与野党7党の政治改革責任者が全面公開で政治改革を協議

予算審議等で論戦をリード

令和7年度予算審議においては、「本気の歳出改革チーム」を編成し、水膨れ予算の精査や基金等の洗い出しを行い、新たに実施された衆議院予算委員会の省庁別審査とともに、約3.8兆円の財源を発掘した。新規国債発行や国民負担増に頼ることなく、当初予算修正案として、国民の命と暮らしを守り、子どもたちの未来を切り開く政策パッケージを打ち出した。さらに当事者団体に寄り添った立憲民主党の問題提起や追及によって、高額療養費自己負担引き上げの凍結を実現した。当初予算案の修正は29年ぶり、参議院で修正された予算案が成立したのは、現憲法下で初となった。

積極的に修正案を提出し成果を勝ち取る

217回通常国会では内閣提出法案に対し衆参両院で24本の修正案を提出し、うち10本が可決された。教員の働き方改革を推進する給特法修正、施行期日を春闘に間に合うように前倒しする下請法修正、実効性あるカスハラ対策へ補強する労働施策総合推進法修正、事業再生時の労働者保護をはかる観点での早期事業再生法修正、憲法の「通信の秘密」を不当に制限しない旨の明記や国会の関与の強化で歯止めをかける能動的サイバー防御法修正、懸念の強いデータ提供命令に歯止めをかけるとともに、個人情報保護への配慮を強化する刑事デジタル法修正など、実のある修正を実現した。政府・与党が提出を先延ばししていた年金改革法案を提出させるとともに、将来の厚生年金等を底上げするべく修正を行った。また、オンラインカジノへの規制を強化する法改正の実現や、食料・農業・農村基本計画に立憲民主党の提案を盛り込むことなど、政策的なリーダーシップを発揮した。(詳細 立憲民主党が提出した修正案

企業・団体献金禁止法案と選択的夫婦別姓法案は継続、ガソリン暫定税率廃止法案は廃案に

217回通常国会での成立を目指していた企業・団体献金禁止法案、選択的夫婦別姓法案は、いずれも採決に至らず継続審議となった。

立憲民主党は、野党が結束して自公政権に対応することで政治を前に進めることができるとして、野党第一党として、野党政策責任者会議・会談の開催を主導し、各党・各会派の主張の調整に腐心した。ガソリン暫定税率廃止法案についても野党が共通に取り組めるテーマとして位置付けて共闘を粘り強く働きかけ、国会最終盤、野党7党共同でのガソリン暫定税率廃止法案の提出にこぎつけた。法案は衆議院を通過したものの、参議院では採決に至らず廃案となった。