第3章焦点となった法案・課題への対応
当事者の命と暮らしを守る高額療養費自己負担引上げ凍結法案
当事者とともに訴える
政府は2024年末、当事者の意見を聴かず、短期間の審議で高額療養費制度の自己負担を2025年8月から引き上げると決定した。引き上げは、長期の治療を続けるがんや難病等の患者、その家族への影響が甚大で、治療の中断に追い込まれたり、生活できなくなったりすることが危惧された。
立憲民主党は当事者の方々の声を聴き、政府に引き上げの凍結を強く求めた。立憲民主党は当初予算の修正案で引き上げの凍結を提案するとともに、高額療養費自己負担引上げ凍結法案を217回通常国会に提出した。高額療養費制度の具体的な金額等は政令で定められており、法律上は政令に委任する規定があるだけであるため、本法案は政令を定めるために必要な考慮事項と新たな手続を設ける改正を行い、そうした手続を経ていない今回の引き上げを凍結するためのものである。
自己負担引き上げをストップ
政府は立憲民主党の提案を拒み、中途半端な対応を繰り返した。衆議院の予算審議では、制度全体ではなく、「多数回該当」の自己負担だけを据え置くための予算の修正等を行うだけだった。
立憲民主党や当事者が参議院の予算審議でも訴えた結果、石破首相は2025年3月、引き上げを見送り、同年秋までに再検討する意向を表明した。
その後、立憲民主党が主導して採択した衆議院厚生労働委員会決議を踏まえ、当事者団体の代表が厚生労働省の専門委員会の委員となり、当事者参加による再検討が始まった。参議院選挙で立憲民主党は、引き上げを行わないことを公約に掲げた。本法案は継続審議となった。