第3章焦点となった法案・課題への対応
責任ある政治を目指して「本気の歳出改革」
政権を担い得る責任政党として
2024年10月に行われた第50回衆議院議員総選挙の結果、与党が衆議院において過半数を失うという日本政治史上異例の事態が生じる中で、立憲民主党が提案する予算の修正が実現する可能性は大きく高まりつつあった。一方で、わが国の厳しい財政状況に鑑みれば、政権を担い得る責任政党として、無責任に減税や歳出増だけを主張することは許されない。こうした基本認識の下、立憲民主党は、政策実現に向けて財源を捻出するため、党内に「本気の歳出改革」作業チームを発足させた。作業チームは1期生をはじめとする総勢70人規模の国会議員からなっており、委員会ごとにグループ分けをして、各委員会所管の予算・事業について徹底的に精査を行った。
衆議院予算委員会初の試み「省庁別審査」
このような状況下にあって、国会でも改革が進み、217回通常国会の2025年度当初予算審議においては、衆議院予算委員会に新たに「省庁別審査」が設けられた。これは、全省庁を6グループに分け、全3日間、合計21時間かけて、政府の予算を詳細に検証する場であった。立憲民主党は、「本気の歳出改革」作業チームにおける検討を踏まえて、予算修正の財源となる「ムダな予算」の洗い出しに向け、「次の内閣」でネクスト大臣を務める議員が質疑に立つなど、この省庁別審査に総力を挙げて臨んだ。
この審議の中では、概算要求段階において5000億円とされていた一般予備費が明確な根拠なく1兆円に倍増されていること、防衛装備移転円滑化基金について、残高が800億円もある上に、契約に至った額は1億円のみであるにもかかわらず、新たに400億円が上積みされていること、コロナワクチン生産体制等緊急整備基金に1年間に必要な額である705億円をはるかに上回る1800億円が投入されていること、グローバル・スタートアップ・キャンパス基金について、残高は636億円に上っているが、基金創設から2年以上経過しても2400万円しか支出されていないこと、基礎年金給付費について、過去の水準を踏まえると、2025年度は7000億円の不用が見込まれること、政府自らが設定した「3年ルール」(基金に計上する予算は費用の3年分とするルール)を逸脱して積み過ぎている基金が約7.8兆円も存在していることなどを明らかにした。
3.8兆円の予算修正案の財源を確保
この「本気の歳出改革」作業チームと省庁別審査の取り組みにより、立憲民主党が策定した3.8兆円規模の予算修正案は、一切赤字国債を発行することなく、すべて歳出改革によって財源を確保した。結果として、この修正案は与党に受け入れられず、否決されることになったが、与党が日本維新の会と合意の上で提出・成立させた修正案には、そのままの形ではないものの、高校無償化や学校給食無償化など、立憲民主党が修正案で求めていた内容が盛り込まれたほか、その財源についても、一般予備費の減額、コロナワクチン生産体制等緊急整備基金の返納など、立憲民主党の「本気の歳出改革」の成果が反映されることとなった。
立憲民主党は、ポピュリズム的な政治とは一線を画し、引き続き、責任ある政策実現に全力を挙げていく。