第2章「次の内閣」・政務調査会 各分野の対応
消費者問題
217回通常国会は特に地方消費者行政に力点を置く国会となった。消費者行政の大きな柱である消費生活相談は、相談そのものはもちろん、その相談情報が法改正などの立法事実として、被害の防止や救済に結び付く。しかし、その活動の財源が交付期限を迎えつつあることから、これまでの歩みを後退させることのないよう、政府に提言などを行った。(詳細 地方消費者行政の充実・強化)
また、SNS上でのステルスマーケティングやインターネット経由の被害増加を受け、政府の対応を確認し、消費者団体や大学生から景品表示法や特定商取引法などの改正に向け提言を受けた。さらに、カスタマーハラスメント対策については正当な苦情の機会を損なわぬよう配慮しつつ厚生労働部門と合同で議論を行い、紅麹サプリ問題については過剰摂取防止の法整備の検討やGMP義務化の動向を政府から確認した。

公益通報者を「保護」できる制度へ
217回通常国会では、政府から「公益通報者保護法の一部を改正する法律案」(政府案)が提出された。政府案の内容は、事業者の体制整備を徹底するための措置や公益通報者にフリーランスを含めたこと、また通報後1年以内の解雇又は懲戒については公益通報を理由としてされたものとして推定するとしたこと(立証責任の転換)、公益通報を理由に解雇又は懲戒をした者および事業者に刑事罰を設けること等、前進であると評価できた。
一方で、兵庫県知事をめぐる問題に関連し、文書問題調査特別委員会委員(兵庫県議)や百条委員会に出席した有識者、消費者団体・弁護士団体・労働団体、さらに通報の当事者からヒアリングを行った結果、政府案の課題が多々確認された。例えば立証責任の転換の対象に現場で多く報告されている不利益取り扱いの配置転換が含まれていないことや、政府検討会でも数多くの積み残し課題が示されているにもかかわらず、改正法施行後5年を目途に検討を行うとなっていることである。特に、通報の当事者からは、政府案では通報者を保護することなどできない、と強い問題提起を受けた。このため、消費者部門は議論を重ね、課題として示された点について修正案を示した。すべての項目を修正することはできなかったが、一日でも早い検討実施のため、検討の目途を3年とする修正を得ることができたため、修正案および修正部分を除く政府案に賛成し、可決・成立した。
旧統一教会被害対策
2024年7月11日、旧統一教会被害者が旧統一教会に対して行った損害賠償請求の最高裁判決は、不当寄附勧誘防止法における「寄附の勧誘が個人の自由な意思を抑圧し、その勧誘を受ける個人が寄附をするか否かについて適切な判断をすることが困難な状態に陥ることがないようにすること」の条文を示したうえで、心理的な影響下にあったかどうかも含めて、寄附者の属性や家庭環境、入信の経緯、その後の宗教団体の関わり方等を含めて違法性の有無を判断するべきとする画期的な判決であったことが、旧統一教会被害者や弁護団から共有された。
また、2025年3月25日には、旧統一教会に対する解散命令請求について、東京地方裁判所は国の請求を認めて解散を命じた。旧統一教会は即時抗告したものの、立憲民主党はその経緯を見守りつつ、被害者の救済に向けて議論を重ねた。