毎年9月頃に発刊国会レポートDiet Report

立憲民主党
国会レポート2025
(第214回臨時国会・第215回特別国会・第216回臨時国会・第217回通常国会の総括)

第2章「次の内閣」・政務調査会 各分野の対応

農林水産

農林水産部門では、「食農支払」(食料確保・農地維持支払)制度の創設と新たな新規就農対策を取りまとめ、2024年公表の農林水産政策大綱を改訂した。217回通常国会に政府より提出された4法案について、いずれも、附帯決議を付した上で賛成し、成立させるとともに、議員立法にも積極的に取り組んだ。

衆議院農林水産委員会での審議においては、野田佳彦代表自ら一般質疑に立ち、2025年3月19日、5月28日の両日、農林水産大臣に対して直接質疑を行った。

また、高病原性鳥インフルエンザ等対策本部、農林漁業再生本部、農林水産キャラバン等を全国展開し、地域の声を政策に反映させた。

2025.3.8 宮崎県日之影町の岩田山岳牧場を視察
2025.3.8 宮崎県日之影町の岩田山岳牧場を視察

「食農支払」等の提起と農林水産政策大綱の改訂

立憲民主党は、2024年に公表した農林水産政策大綱に掲げた政策を具体化するため、食料・農業・農村政策ワーキングチームを中心に、政府、有識者、関係団体等との意見交換を重ね、党内協議を鋭意実施した。2025年4月24日、かつての農業者戸別所得補償制度を礎にした、農地に着目した新たな直接支払制度「食農支払」(食料確保・農地維持支払)制度の創設と新たな新規就農対策を提起し、農林水産政策大綱を改訂した。

新たな食料・農業・農村基本計画への申し入れ

2024年の213回通常国会において25年ぶりに改正された食料・農業・農村基本法に基づく「食料・農業・農村基本計画」が、2025年4月11日に閣議決定された。立憲民主党は、閣議決定に先立ち、食料・農業・農村政策WTを中心に議論を進め、2月28日、33項目にわたる「食料・農業・農村基本計画に盛り込むべき事項について」を取りまとめ、農林水産大臣に申し入れを行った。3月25日には、衆参両院でそれぞれ18項目の委員会決議を行った。(詳細 食料・農業・農村基本計画を改定

土地改良法改正案に賛成

「土地改良法等の一部を改正する法律案」(政府案)については、衆参両院で農業水利施設の計画的な更新を着実に進めることなど、それぞれ11項目の附帯決議を付して賛成した。

漁業災害補償法改正案に賛成

「漁業災害補償法の一部を改正する法律案」(政府案)については、水産政策ワーキングチームを中心に議論を行い、衆参両院で漁業災害補償制度の持続的かつ安定的な運営を確保することなど、それぞれ7項目の附帯決議を付して賛成した。

森林経営管理法及び森林法改正案に賛成

「森林経営管理法及び森林法の一部を改正する法律案」(政府案)については、森林・林業・山村振興ワーキングチームを中心に、関係団体との意見交換、議論を行った。委員会審議等で明らかになった課題については、衆議院で12項目、参議院で13項目の附帯決議を付して、法案に賛成した。また、2025年2月26日に岩手県大船渡市で焼失面積約2,900haにおよぶ平成以降国内最大規模の山林火災が発生し、4月7日、立憲民主党災害・緊急事態局と合同で現地視察を行った。

2025.4.7 岩手県大船渡市の森林火災現場を視察
2025.4.7 岩手県大船渡市の森林火災現場を視察

食料システム法案に賛成

「食品等の流通の合理化及び取引の適正化に関する法律及び卸売市場法の一部を改正する法律案」(食料システム法案)(政府案)については、関係団体との意見交換、委員会審議等で明らかになった課題に対して、衆参両院でそれぞれ9項目の附帯決議を付して、法案に賛成した。

棚田地域振興法をめぐる課題の提起

「棚田地域振興法の一部を改正する法律案」については、棚田振興ワーキングチームが中心となって、「棚田地域振興法をめぐる課題」を取りまとめ、中山間地域等直接支払制度の棚田加算の活用促進や、移住・二地域居住等のさらなる促進など10項目の課題を、各党に提起し、関係団体をはじめ、超党派で議論を重ねた。立憲民主党の見解が概ね盛り込まれたことから、217回通常国会で本法案に賛成し、衆議院で3項目の委員会決議を行い、参議院で3項目の附帯決議を付して成立した。

山村振興法に向けた論点の提起

「山村振興法の一部を改正する法律案」については、森林・林業・山村振興WTが中心となって「山村振興法改正に向けた論点」を取りまとめ、山村における森林整備予算の拡充や、鳥獣被害対策など12項目の論点を各党に提起し、超党派で議論を重ねた。立憲民主党の見解が概ね盛り込まれたことから、217回通常国会で本法案に賛成し、成立した。

タネ(種子)を守る2法案の提出

2018年4月1日に主要農作物種子法が廃止されて以降、立憲民主党は、公的新品種育成促進法案、ローカルフード法案の2法案をこれまでの国会に提出してきた。217回通常国会においても、超党派で2法案を取りまとめ、衆議院に提出し、継続審議となった。

食料供給困難事態対策法改正案を提出

立憲民主党は、政府が2024年の213回通常国会に提出した「食料供給困難事態対策法案」に反対し、刑事罰(20万円以下の罰金)を行政罰(20万円以下の過料)に修正することを求めてきたが、この修正案を基に改正案「食料供給困難事態対策法の一部を改正する法律案」を取りまとめ、217回通常国会に超党派で衆議院に提出し、継続審議となった。

国有林野事業職員に関する2法案を提出

2008年の国家公務員制度改革基本法12条に基づく自律的労使関係制度が措置されるまでの間、暫定的な措置が必要なことから、2013年以降、法案を提出し続けてきたが、217回通常国会においても、超党派で法案を取りまとめ、衆議院に提出し、継続審議となった。

食糧法改正案の提出

2024年からの主食用米の供給不足、価格高騰に対処するため、政府は、備蓄米を競争入札で売り渡し、その後、随意契約による放出に切り替えたが、その法的根拠が極めて曖昧であった。立憲民主党は、米価高騰時の売渡しだけでなく、暴落時の買入れをセットで法案「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律の一部を改正する法律案」に盛り込み、217回通常国会で衆議院に提出し、継続審議となった。