毎年9月頃に発刊国会レポートDiet Report

立憲民主党
国会レポート2025
(第214回臨時国会・第215回特別国会・第216回臨時国会・第217回通常国会の総括)

第2章「次の内閣」・政務調査会 各分野の対応

財務金融・税制・経済財政

密室協議から「熟議と公開」の税制改革へ

立憲民主党は2024年、税制調査会を中心に、各部門会議等で、関係団体から2025年度の税制改正に関する要望をヒアリングした上で、「2025(令和7)年度税制改正に関する主要提言」を取りまとめた。本提言については、政府・与党の税制改正大綱の決定に先立ち、財務大臣に申し入れた。また、少数与党下での初の試みとして、他の野党の税制責任者にも本提言を手交し、与党内の密室協議のみで税制を決める時代に終止符を打ち、「熟議と公開」の国会の下で税制改革を推し進めることを訴えた。

その後、政府は2024年12月27日に「令和7年度税制改正の大綱」を閣議決定し、同大綱に基づき、217回通常国会に「所得税法等の一部を改正する法律案」を提出した。立憲民主党は、先に取りまとめた提言に基づき、①「防衛増税」の撤回、②ガソリンの暫定税率廃止、③租税特別措置(租特)のさらなる透明化、④「納税者権利憲章」の制定、⑤「災害損失控除」の創設、⑥金融所得課税の累進化など、税制度への国民の信頼を回復し、応能負担を求める修正案を提出した。修正案は衆議院財務金融委員会において政府案と並行審議され、立憲民主党は審議の中でその必要性を繰り返し主張したが、政府・与党はこれを受け入れなかった。一方で、与党は法案採決の直前になり、いわゆる「103万円の壁」への対応として、基礎控除の上乗せ特例を設ける修正案を提出したが、その実態は、広く薄く一時的なバラマキ減税を行おうとするものであった。こうした理由から、立憲民主党は与党提出の修正案と政府案に反対したが、与党等の賛成により、政府案は修正の上、可決・成立した。

なお、ガソリンの暫定税率廃止については、党の重点政策と位置付け、その実現に向けてさらなる取り組みを展開した。(詳細 ガソリン暫定税率廃止法案

2024.12.13 「2025(令和7)年度税制改正に関する主要提言」を財務大臣に申し入れ
2024.12.13 「2025(令和7)年度税制改正に関する主要提言」を財務大臣に申し入れ

関税の暫定税率の惰性的延長を喝破

政府は「関税定率法等の一部を改正する法律案」を217回通常国会に提出した。本法案の審議の過程では、現在411品目に適用されている関税の暫定税率を延長するにあたり、政府は十分な検討を実施しておらず、毎年惰性で適用延長が行われている実態が露呈した。こうした状況に鑑み、立憲民主党は、法案には賛成としたものの、委員会での審議等においてこうした政府の怠慢を厳しく問いただし、猛省を促した。

民営化に逆行する政投銀法改正をただす

政府は217回通常国会に「株式会社日本政策投資銀行法の一部を改正する法律案」を提出した。本法案は日本政策投資銀行(政投銀)が実施する「特定投資業務」の期限を延長するものだが、同業務の財源は半分が国費で賄われているにもかかわらず、投資先の企業名などは一切開示されていない。また、「特定投資業務」を実施している間は、政府が2分の1以上の株式を保有することが義務付けられているが、政投銀法は「できる限り早期に」政投銀を完全民営化することを定めており、今回の法改正はこの方針に大きく逆行するものであった。こうした理由から、立憲民主党は本法案に反対したが、与党等の賛成により、可決・成立した。

特別会計内の溜め込みを厳しく追及

政府は217回通常国会に「特別会計に関する法律の一部を改正する法律案」を提出した。本法案は、財政投融資特別会計(財投特会)の投資勘定において財源の余剰が生じた場合、同勘定内の「投資財源資金」に繰り入れることを可能とするものだが、これにより、一般会計への繰入額が恣意的に減少させられる懸念がある。一般会計の厳しい財政状況に鑑みれば、このような改正は到底認められないことから、立憲民主党は、本法案に反対するとともに、一般会計における財源確保を図る観点から、近年の円安により為替差益が増大している外国為替資金特別会計(外為特会)から一般会計への繰り入れを可能とする規定を設ける修正案を提出したが、同修正案は与党等の反対により否決され、法案は原案通り可決・成立した。

「日銀保有ETF活用法案」を再提出

立憲民主党は、議員立法「日銀保有ETF活用法案」を217回通常国会に提出した。本法案は2024年の213回通常国会に一度提出をしたもので、元々、医療保険料に上乗せして徴収される1兆円規模の「子ども・子育て支援金」を廃止し、代替財源として、日本銀行が保有しているETF(上場投資信託)の分配金収入等を活用するための法案であった。今回は、近年、ETFの分配金収入が1兆円を大きく上回っていることに鑑み、他の子ども・子育て支援に資する事業の財源としても活用できるように内容を改めた上で再提出したが、審議入りはかなわず、継続審議となった。

責任ある消費税負担軽減策を立案

立憲民主党は2025年、現下の物価高に鑑み、消費税の負担軽減策について議論を重ね、当面は1人あたり2万円の「食卓おうえん給付金」を迅速に給付した上で、2026年4月から原則1年・最大2年にわたり食料品に係る消費税を8%から0%に引き下げ、その後隙間なく「給付付き税額控除」に移行するという3段階の政策スキームを立案した。給付と減税については、財源を具体化し、赤字国債の発行に頼らない責任ある姿勢を明確にした。また、「給付付き税額控除」については、これを最大の目標と位置付け、「『給付付き税額控除』検討プロジェクトチーム」を党内に設置し、制度設計の早期具体化を図ることとした。

租税特別措置の適正化・透明化に向けて

立憲民主党は、議員立法「租特透明化法改正案」を217回通常国会に提出した。本法案は、企業・団体献金により政治が歪められてきたのではないかとの疑念の高まり、厳しい財政状況にもかかわらず、十分な検証なく漫然と租特が延長・拡充されている実態等に鑑み、①租特による高額減税企業上位10社の実名を国会報告の対象とすること、②租特は期限到来時に原則廃止することとした上で、例外的に延長・拡充する際のルールを法定化することを規定し、租特のさらなる透明化・適正化を図るものであるが、審議入りはかなわず、継続審議となった。

2025.6.11 議員立法「租特透明化法改正案」を衆議院に提出
2025.6.11 議員立法「租特透明化法改正案」を衆議院に提出

スルガ銀行不正融資問題の早期解決に向けて

2018年に発覚したスルガ銀行不正融資問題の長期化に鑑み、2025年6月19日、立憲民主党をはじめとする超党派の枠組みで、スルガ銀行の対応が不十分である場合、業務停止命令を含めた厳しい対応を取ることなどを金融庁に要請した。