毎年9月頃に発刊国会レポートDiet Report

立憲民主党
国会レポート2025
(第214回臨時国会・第215回特別国会・第216回臨時国会・第217回通常国会の総括)

第2章「次の内閣」・政務調査会 各分野の対応

子ども政策

児童福祉法等の一部を改正する法律案に賛成

政府は217回通常国会に、保育人材の確保等に関する体制整備や虐待を受けた児童等への対応強化に向けて関連法の規定を整備する「児童福祉法等の一部を改正する法律案」を提出した。保育士の処遇改善などの附帯決議を付して立憲民主党は賛成し、本法案は可決・成立した。

保育士の処遇改善、保育の質確保への取り組み

政府は令和7年度予算において、「1歳児配置改善加算」を措置した。これは、1歳児の職員配置を5:1以上に改善した施設・事業所に対し6:1の配置との差額相当額を加算するものであり、保育の質向上が目的とされた。しかし、「施設・事業所の職員の平均経験年数10年以上」という厳しい要件が職員配置の改善を断念させる懸念があることから、立憲民主党はこの要件を撤廃するよう政府に対して緊急要請を2025年2月に行った。

子ども政策部門では、保育士不足解消や質の確保に向けて、5月に関係団体からヒアリングし、保育士配置基準の見直しや保育所等への給付を子どもの数でなく真に必要な保育士数に応じたものにするなど公定価格制度の見直し、有料職業紹介の手数料の高騰に対する歯止め措置、保育現場のDX(保育ICT)の導入や運用への財政措置などを内容とする「保育士の処遇改善や保育の質の確保等を求める要請」を政府に行った。また、立憲民主党は217回通常国会で、月額1万円の処遇改善を行う「保育等従事者の人材確保のための処遇の改善等に関する特別措置法案」(保育士・幼稚園教諭等処遇改善法案)を国民民主党と共同で提出したが、継続審議となった。

2025.5.16「保育士の処遇改善や保育の質の確保等を求める要請」を内閣府特命担当大臣に手交
2025.5.16「保育士の処遇改善や保育の質の確保等を求める要請」を内閣府特命担当大臣に手交

ひとり親家庭への支援を強化

日本のひとり親家庭の貧困率はOECD加盟国の中で最悪の水準であり、当事者団体は恒久的な底上げ支援を求めていた。なかでも児童扶養手当を受給するための「所得制限の壁」は、働き控えを招き経済的自立を阻害する要因となっていることから、立憲民主党は、「所得制限の壁」を引き上げて児童扶養手当の受給対象者を拡充するとともに、子ども1人当たり月額1万円を増額するために、「児童扶養手当法の一部を改正する等の法律案」(児童扶養手当「所得制限の壁」引上げ法案)を217回通常国会に提出し、超党派での成立を目指したが、継続審議となった。

朝の児童の居場所づくりや若者支援に向けて

子どもの小学校入学を機に生活リズムやサポート体制が変わり、子育てと仕事の両立が困難になる「小1の壁」問題を解消するため、217回通常国会において、朝の居場所づくりの取り組みを全国的に推進する「児童の朝の居場所の確保を図るための措置等に関する法律案」を参議院に提出した。本法案は、参議院選挙に伴い審議未了で廃案となった。

10代の死亡原因の第1位が「自殺」という極めて深刻な状況を受け、超党派の議員連盟「自殺対策を推進する議員の会」が、子どもに係る自殺対策を推進する「自殺対策基本法の一部を改正する法律案」を取りまとめた。本法案は217回通常国会に参議院厚生労働委員長より提出され、可決・成立した。

立憲民主党は2025年5月、「子ども・若者応援本部」を再設置した。現場に出向いて当事者の声を聴き、その声を政策立案に結び付け提言を行うことを活動の中心にしている。